導入の手間と費用をかけず、顧客満足度を向上
全国の自動車教習所で導入が進んでいるスマホアプリ『SOUDA』(ソウダ)」について、開発責任者である渡部貴博に伺いました。何に役立つアプリで、どんな評価を受けているのか? 実は『SOUDA』についてあまりわかっていない、人材採用系グループ会社の社員である私、山田めぐみが取材しました。
どんな製品? その効果は?
渡部:運転免許取得のために自動車教習所様(以下教習所)に通われている教習生の皆様にご利用いただくための無料スマートフォンアプリ(以下アプリ)です。
教習所にお使いいただく管理画面も合わせて提供しています。
導入効果として、
・防災対策
・告知の省力化(お知らせの周知徹底)
・配布書類のペーパーレス化(二度手間の防止)
・競合校との差別化
が期待できます。
教習生へのサービスが向上することで、結果的に顧客満足度の向上につながるという製品です。
災害時の安否確認や、メッセージを送信してのお知らせの徹底、学科表や入校手続きに配布した資料のデータ化で教習生へのサービスを拡充できます。
管理画面も含め、教習所も教習生も「無料」でお使いいただけるのがこの製品の特徴です。
「顧客満足度を高め、口コミなどの評判を上げることで集客したい。」という教習所から引き合いをいただいています。
無料で提供する理由と方法は?
システムへの投資は最優先ではない。
渡部:複数の教習所の経営者の皆様、現場の皆様とはシステム関係のお仕事で10年近く交流があり、日頃から多くの課題をお聞きしています。
マスコミ等で報じられているように、若者の「車離れ」「免許離れ」、「少子化」により教習所の数は減少傾向にあります。
これらの顕在化した課題とは別に、教習所の運営には授業で使う車体や教習コースの維持、顧客情報の管理システムの運用費、その他多額の設備投資が必要です。
また、一つの教習所で年間に受け入れられる顧客(教習生)の数には限界があります。
一部の小売業のように、積極的に新たなシステムに投資することで短期的に大きなリターンを得られる業種ではありません。
教習所は、なくてはならない場所
渡部:教習所は日本の交通安全を担う大切な場所で、「市場動向に関わらず継続していただきたい、社会貢献性の高い教育機関」というのが私どもの考えです。
様々な課題に直面している教習所から直接お金をいただくビジネスモデルだけではなく、お互いにメリットを明確にし、費用負担を軽減する方法も取り入れて行かなければなりません。
また、繁忙期は特に忙しい業界のため、システムの利用や導入の手間は大きな負担になります。『SOUDA』では、管理画面はシンプルに必要最低限の機能で構成し、直感的に操作できる構造でデザインされています。
『SOUDA』は「手間と費用をかけず、防災対策と顧客満足を無料で実現」というコンセプトで開発された製品です。
広告掲載で「無料」提供を実現
渡部:アプリ内に広告宣伝が可能なニュース形式のメディアを組み込むことで、無料での提供を実現しています。
広告主の企業様からお金をいただくことで本製品の運営費を捻出して、教習所には無料で提供するという仕組みを実現しています。一部、オプション機能などで有料プランはありますが、無料の範囲内で不自由なく運用可能です。
教習所、教習生からの反応は?
防災アプリとしての需要。
渡部:教習所については、全国から引き合いがあります。
恥ずかしながら当社は営業力が強いとは言えません。大変有難いことに、教習所のご担当者様、経営者様からの口コミを中心としてご紹介で広がっています。
教習所は未成年も含む若者が集う場所のため防災対策が求められるケースがあります。そのため、「顧客満足度の向上」だけではなく「防災対策ツール導入の検討」をきっかけとして興味を持っていただけることも少なくありません。
災害時における事業継続計画(BCP)においても「安否確認」は業界を問わず重要度を増しています。
教習生の皆様については、すでに教習所生活で必要なものと認識いただいているようで、卒業時のアンケート用紙にお褒めの言葉をいただくこともあります。
求人掲載で、地域雇用の活性化も。
渡部:面白い運用事例として、このアプリ内の情報共有画面(普段は学科表などを表示する画面)に「地元企業の求人情報を無料で掲載する」という運用をされている教習所もあります。
人手不足が続き、高額な求人広告費を捻出できない中小企業は採用に苦しんでいます。
そこで、若者が集まる教習所という場所を活かして求人情報を閲覧していただくという運用モデルです。教習所側には、地域の雇用を活性化し、企業との関係性を強化するメリットがあります。
実際に、このアプリ上に掲載された求人情報を見て応募し「地元の交通会社にドライバーとして内定した」という教習生の方がいらっしゃいます。 これを聞いた時は嬉しかったですね。
さいごに。今後の展開は?
渡部:まず、ご導入いただいている自動車教習所の皆様、アプリをご利用いただいている教習生、卒業生の皆様に心より感謝いたします。
最近では、アプリの導入をきっかけとして、教習所の経営者様や現場の皆様から、ホームページをはじめインターネット上での集客のご相談をいただくことが増えてきました。
仕事への取り組み方や製品へのアイデアなどについては、こちらが勉強させていただくことが多いですね。
今後もお客様の声を取り入れ、利便性の高い製品として運用してまいります。
よろしくお願いいたします。
渡部貴博(Takahiro Watanabe)
GSC株式会社 取締役 IT事業本部本部長
ガラケーの時代からスマホアプリに至るまで、モバイル及びウェブシステムの企画開発に15年以上携わっている。上流工程だけではなく、セミナーでの講演から訪問での運用定着までを一貫して対応。
自動車教習所向けには、メールマーケティング機能を備えた営業支援システムを企画開発し展開。全国で約100校に導入。IT系新規事業立ち上げ支援、ウェブコンサルティング、動画マーケティングなど集客分野での経験も豊富。